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即時償却とは?仕組みやメリット・中小企業経営強化税制との関係を解説

即時償却とは?仕組みやメリット・中小企業経営強化税制との関係を解説

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決算が近づくと、「利益が出そうだけど税金が重い」「今からできる対策はあるのか」と悩むことがあります。そんなときに見かける言葉が「即時償却」です。ただ、仕組みを正しく理解していないまま検討すると、期待した効果が出なかったり、翌年以降の負担が増えたりすることもあります。

即時償却は、設備投資の費用を購入した年にまとめて経費計上できる制度で、うまく使えば税負担を抑える選択肢になります。一方で、向いている会社と向いていない会社があり、制度の要件や手順も押さえる必要があります。

この記事では、即時償却の基本、向き不向きの判断軸、節税につながる理由をつなげて解説します。あわせて、中小企業経営強化税制との関係や、税額控除との違いも触れます。即時償却が気になっている人は、参考にしてください。

即時償却の仕組みと基本的な考え方

即時償却は、設備などの取得費用を購入した事業年度に一括で経費計上できる仕組みです。通常の減価償却と違い、費用を前倒しできるため、利益が出る年の決算対策として検討されやすくなります。まずは、仕組みと違いを押さえると判断がぶれにくくなります。

取得費用を一括で経費計上できる仕組み

即時償却の特徴は、設備を取得した年に取得価額をまとめて損金にできる点です。通常は耐用年数に応じて数年に分けて費用計上しますが、即時償却では初年度に集中的に反映されます。その結果、課税対象となる利益が小さくなるため、法人税などの負担を抑えやすくなります。

ただし、税金が免除されるわけではなく、将来年度に計上されるはずだった費用を前倒ししている状態です。短期の効果だけでなく、翌年以降の見え方も含めて検討することが大切になります。

通常の減価償却との違い

減価償却は、設備の使用期間に合わせて費用を配分する考え方です。毎年一定の償却費が出るため、利益や税負担がなだらかになりやすい一方、初年度の節税効果は限定的になりがちです。

即時償却は初年度に費用を集中させるため、利益が大きい年には効果が出やすくなります。その反面、翌年以降は償却費が出ないか少なくなるため、利益が増えたように見えることがあります。事業の利益が波打つ会社ほど影響が出やすいので、単年の決算だけで判断しない姿勢が重要です。

即時償却が向いている会社・向いていないケース

即時償却は便利な制度ですが、効果の出方は会社の状況で変わります。節税の観点だけでなく、投資の目的や資金繰りも含めて考えると失敗しにくくなります。向いている条件と避けたい条件を先に押さえておくと、制度選びが現実的になります。

向いている会社の共通点

即時償却が向きやすいのは、当期に十分な利益が見込めており、設備投資が事業の成果につながる会社です。例えば、作業の自動化や処理能力の向上により、人手不足の負担を軽くできる投資は、節税だけでなく運営の改善にもつながります。

また、繁忙期の増産や受注拡大に備えた設備投資は、翌期以降の売上の伸びを支えることがあります。投資の目的が明確で、導入後の運用イメージが具体的なほど、即時償却の効果を経営の前進に結びつけやすくなります。

向いていないケースと注意点

赤字決算の見込みが強い場合や、利益が小さい年は、即時償却の節税効果が感じにくいことがあります。税金がもともと少ない状態では、費用を前倒ししても差が出にくいためです。また、節税だけを目的に投資すると、必要性の薄い設備を抱えたり、支出が先行して資金繰りを圧迫したりする恐れがあります。

設備投資は「買って終わり」ではなく、運用して初めて価値が出ます。投資回収の見通しが立つか、維持費や追加費用が許容範囲かも含めて判断することが欠かせません。

関連記事:起業する際に知っておきたい節税対策!税負担を軽減するポイントや注意点

即時償却が節税につながる理由

即時償却が注目されるのは、課税対象となる利益を調整しやすいからです。利益が多い年に費用を集中させることで、税金の負担を軽くできる場合があります。ただし、前倒しの影響は翌年以降に及ぶため、仕組みを理解して使うことが重要になります。

利益圧縮と税負担の関係

法人税などは利益に応じて課税されるため、経費が増えるほど課税対象は小さくなります。即時償却を使うと、通常は数年に分ける費用を当期にまとめて計上できるため、利益を大きく圧縮しやすくなります。その結果、法人税だけでなく住民税や事業税なども含めて負担が下がることがあります。

ただし、将来計上するはずだった費用を前倒ししているため、翌年以降は償却費が減り、利益が増えたように見える局面も出てきます。単年での得だけを見ず、数年の税負担の波も踏まえて考える姿勢が大切です。

キャッシュフローへの影響

設備の購入は支出が先に発生しますが、税金が減ることで手元資金が残りやすくなる場合があります。税金は支払いのタイミングが決まっているため、当期の負担が軽くなると資金繰りに余裕が生まれやすくなります。一方で、翌年以降に償却費が少なくなると税負担が戻り、想定より資金が減ることもあります。

設備投資の支出と税金の増減が重なると、資金繰りが急にきつく感じることがあります。資金の安全幅を確保したうえで、投資額と効果のバランスが取れているかを確認しておくと安心です。

即時償却を使える主な制度と対象の考え方

即時償却は、税制優遇制度の要件を満たした場合に適用されます。制度には対象や手順があり、思いつきで進めると適用できないことがあります。まずは、制度の位置づけと対象の考え方を押さえると、検討の精度が上がります。

  • 制度ごとに対象設備や要件が異なる
  • 設備取得の前後関係が重要になることがある
  • 最新の要件は公的情報や税理士で確認する

中小企業経営強化税制の位置づけ

即時償却が認められる代表例として、中小企業経営強化税制があります。中小企業が生産性向上や競争力の強化につながる設備投資を行うことを後押しする制度で、一定の条件を満たした設備について、即時償却または税額控除を選べる点が特徴です。

節税そのものが目的ではなく、事業の成長につながる投資であることが前提になります。そのため、導入する設備が業務改善や収益力の向上にどう結びつくかを説明できる状態にしておくと、検討が進めやすくなります。

対象になりやすい設備投資の特徴

対象になりやすいのは、業務の効率化や省力化に寄与する設備投資です。例えば、作業工程を短縮できる機器や、処理能力を高めて待ち時間を減らす仕組みなどは、導入効果を説明しやすくなります。

設備の金額だけで判断するのではなく、導入によってどの業務がどう変わるか、どんなコストが減るか、どの売上機会が増えるかといった観点が重要になります。投資の目的と期待効果が明確なほど、制度の趣旨にも合いやすく、社内の意思決定もスムーズになります。

対象外になりやすいポイント

対象外になりやすいのは、事業との関連性が薄い設備や、節税だけを狙った投資です。また、制度の手順を満たしていない場合も適用が難しくなります。例えば、必要な手続きを経ずに設備を取得したり、期限や条件に合わない形で導入したりすると、即時償却を使えない可能性があります。

制度を使う前提として、設備の位置づけが事業計画に沿っているか、手順や時期に無理がないかを確認しておくことが欠かせません。

中小企業経営強化税制で即時償却する流れ

中小企業経営強化税制を活用する場合は、決められた順番で進める必要があります。購入後に気づいても取り返しがつかないことがあるため、手順とスケジュールを先に押さえておくと安心です。

経営力向上計画と導入までの順番

この税制を利用する際は、経営力向上計画を作成し、認定を受けたうえで設備を取得する流れになります。順番が重要になるのは、制度が「計画に沿った投資」であることを前提としているからです。計画では、設備投資が業務の改善や収益力の向上にどうつながるかを示します。

投資目的が明確になるため、社内での合意形成にも役立ちます。準備の段階で、導入時期や運用体制、期待効果まで見通しておくと、制度活用が単なる節税で終わらず、事業の前進につながりやすくなります。

申請・取得タイミングの注意点

申請から認定までには一定の時間がかかるため、決算直前に動き始めても間に合わないことがあります。加えて、認定前に設備を取得すると、即時償却の適用が難しくなる場合があります。スケジュールに余裕を持って進めることで、制度を活かしやすくなります。

設備の納期や支払い時期も絡むため、導入計画を「いつ発注し、いつ取得扱いになるか」まで落としておくと安心です。税務の判断は個別事情で変わることがあるので、早い段階で税理士などに確認しておくと手戻りが減ります。

関連記事:即時償却できる節税商品7選|中小企業経営強化税制について解説

即時償却と税額控除の違い

中小企業経営強化税制では、即時償却と税額控除のどちらかを選べる場合があります。どちらが有利かは会社の状況で変わるため、仕組みの違いと判断の考え方を押さえておくと選びやすくなります。

一括費用化と税額控除の考え方

即時償却は、取得費用を一括で経費として計上し、課税対象となる利益を小さくする仕組みです。一方、税額控除は、算出された税額から一定額を差し引く形で負担を軽くします。税額控除は「税額が発生していること」が前提になるため、赤字で税金がほとんど出ない場合は効果が出にくくなります。即時償却は利益の圧縮に働くため、利益が大きい年ほど効果が見えやすい傾向があります。どちらも制度の趣旨は設備投資の後押しなので、節税だけでなく投資効果もセットで考えることが大切になります。

選び方の目安と判断ポイント

選び方は、当期の利益水準と、翌年以降の利益見通しを軸に考えると判断しやすくなります。当期の利益が大きい場合は即時償却で圧縮しやすく、一定の税額が出る見込みがある場合は税額控除のメリットが分かりやすくなることがあります。

ただし、税額控除には上限や条件が設けられる場合があるため、制度の要件を確認することが欠かせません。単年の得だけでなく、投資後の利益計画、資金繰り、他の施策との兼ね合いまで含めて見たうえで選ぶと、後悔が起こりにくくなります。

よくある迷いどころと考え方

迷いやすいのは「どちらが得か」を単純比較しようとする点です。実際には、利益がどれだけ出るか、今後も投資を続けるか、資金繰りに余裕があるかで最適解が変わります。例えば、当期だけ利益が突出するケースと、数年にわたり安定して利益が出るケースでは、考え方が異なります。

短期の節税効果を優先しすぎると、翌年以降の税負担が重く感じることもあります。自社の利益の出方と投資の目的をセットで捉えると、選択の軸がぶれにくくなります。

即時償却を検討する際の注意点

即時償却は、当期の税負担を抑えやすい一方で、翌年以降の税負担や資金繰りにも影響します。制度を使うことが目的にならないように、事業計画の中で位置づけて考えると安心です。最後に、見落としやすい注意点を押さえておきます。

将来年度の税負担とのバランス

即時償却は費用を前倒しして計上するため、翌年度以降に計上できる減価償却費が減ります。その結果、翌年以降の利益が増えたように見え、税負担が重くなることがあります。利益の波が大きい会社では、この影響が強く出やすくなります。

例えば、今年は大きな利益が出ても、来年は投資や人件費で利益が落ちる見込みなら、前倒しの効果が薄く感じることがあります。数年単位で利益と税負担のバランスを見通し、無理のない形で活用することが重要になります。設備投資の支出と税金の増減が重なる年は、資金の安全幅を多めに取っておくと安心です。

他の節税策との組み合わせ

中小企業の節税は、1つの制度だけで完結しないことが多く、複数の施策が同じ年度に重なると効果が変わります。例えば、倒産防止共済の解約や役員報酬の調整などが同じ年にある場合、想定していた利益調整の幅が変わることがあります。即時償却を使うなら、当期に起こる損益の動きを先に把握し、全体としてバランスが取れるかを見極める視点が欠かせません。

制度同士を競わせるのではなく、会社の状況に合う順番で組み合わせる意識を持つと、判断がぶれにくくなります。迷う場合は、税理士と一緒に「当期と翌期の利益見込み」を並べて確認すると整理しやすくなります。

関連記事:法人の節税商品とは?種類や選び方・活用法や注意点を解説

まとめ | 即時償却は使いどころの見極めが重要

即時償却は、設備投資の取得費用を購入年度に一括で経費計上できる仕組みで、利益が出る年の税負担を抑える選択肢になります。ただし、費用を前倒しするため、翌年以降は減価償却費が減り、税負担が重く感じる場面も出てきます。中小企業経営強化税制を活用する場合は、経営力向上計画の認定など手順とタイミングが重要で、決算直前の対応では間に合わないことがあります。即時償却と税額控除のどちらが適切かも、利益水準や投資計画で変わります。短期の節税だけに寄せず、資金繰りと将来の利益見通しを踏まえて検討すると、安心して選びやすくなります。

中小企業経営強化税制を活用した設備導入や、節税と収益化を両立しやすい商品の選び方に迷う場合は、BRDGへ気軽にご相談ください。制度の要件や手順、利益見込みとのバランスを踏まえた判断材料を整理したうえで、自社に合った選択肢を一緒に考えます。初めて設備投資を検討する場合でも、無理のない進め方を組み立てやすくなります。

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