中小企業向けの節税対策は?有効な節税方法やポイント・注意点を解説
「この設備は中小企業経営強化税制の対象になるのか」「A類型とB類型、どちらで進めるべきか」など、設備投資を考える段階で迷うポイントは意外と多いものです。要件を取り違えると、想定していた優遇を受けられない可能性もあるため、導入前に確認しておきたいところです。
中小企業経営強化税制は、一定の対象設備について「即時償却」または「税額控除」を選べる制度です。ただし、対象になる設備の範囲や新品要件、供用開始のタイミング、申請手続きの段取りまで押さえる必要があります。
この記事では、「中小企業経営強化税制 対象設備」を判断するための前提から、A類型・B類型の考え方、具体例、申請の進め方までを整理して解説します。設備投資をムダにしないための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
中小企業経営強化税制と対象設備の前提

中小企業経営強化税制は、一定の要件を満たす設備投資に対して税負担を軽減できる制度です。大切なのは「設備を買った事実」ではなく、「事業のために使う設備か」「制度が求める条件を満たしているか」という点になります。最初に前提を押さえておくことで、対象設備の判断や申請手続きがぶれにくくなり、設備投資の納得感も高まりやすくなります。
即時償却と税額控除の使い分け
中小企業経営強化税制では、対象設備を取得した場合に「即時償却」または「税額控除」のどちらかを選択できます。即時償却は、取得価額をその事業年度に全額費用として計上できる方法で、利益が出ている年度ほど税負担を抑えやすくなります。
一方、税額控除は法人税額から一定割合を直接差し引く仕組みで、利益の出方や法人税額の水準によって有利不利が変わります。例えば、利益が小さい年度に即時償却を選んでも効果が出にくいことがあるため、将来の投資計画や資金繰りも踏まえて検討することが大切です。自社の状況に合う選び方ができると、設備投資の効果が数字としても実感しやすくなります。
生産等設備の考え方と対象外例
対象設備として認められるには、基本的に「生産等設備」に該当する必要があります。生産等設備とは、事業活動に直接使われ、生産性の向上や業務効率化に結びつく設備を指します。例えば、作業時間の短縮や処理能力の向上、人的負担の軽減に役立つ設備は対象として検討しやすい一方、事務用デスクや椅子、応接セットのように、事業に使っていても生産性向上との結びつきが弱いものは対象外になりやすい点に注意が必要です。
見た目が事業用でも対象になるとは限らないため、「何を改善するための設備か」を言葉で説明できる状態にしておくと判断がぶれにくくなります。設備の役割を整理することが、制度活用の第一歩になります。
新品要件と貸付用資産の扱い
中小企業経営強化税制では、原則として「新品の設備」であることが求められます。中古設備はコストを抑えやすい反面、制度の適用対象から外れるため、税制活用を前提にする場合は導入段階で選択肢から外して考える必要があります。
また、第三者に貸し出すことを目的とした貸付用資産も対象にはなりません。ただし、設備を自社の事業として設置し運用する場合は、利用者が第三者であっても「事業の用に供する設備」として扱える可能性があります。重要なのは、設備の所有形態だけでなく、事業との関係や運用実態が整っていることです。判断に迷う場合は、導入目的と運用方法を先に固めると整理しやすくなります。
中小企業経営強化税制の対象設備の類型
対象設備は、設備の性質や導入目的に応じて類型に分かれています。実務で検討されることが多いのはA類型とB類型で、必要書類や進め方が異なります。設備選定の段階で「どの類型で進めるか」を意識できると、証明書の準備や計画書作成の手戻りが減り、申請の見通しも立てやすくなります。
A類型:工業会証明書を軸にした進め方
A類型は、生産性向上に資する設備を対象とする考え方で、工業会などが発行する証明書をもとに要件を確認します。証明書には、一定の基準を満たす設備であることが示されるため、申請時に「設備が制度要件に沿っているか」を説明しやすくなります。
手続きとしては、対象設備に対応する証明書を用意し、設備情報と計画書の記載を一致させて進める流れが基本です。導入する設備の型番や仕様が確定していないと証明書の手配が難しくなることがあるため、見積取得と並行して早めに確認しておくと安心です。A類型は検討しやすい反面、書類の整合が崩れると補正につながるため、最後まで丁寧に揃える姿勢が大切になります。
B類型:投資計画と事前確認が必要なケース
B類型は、設備投資によって収益力の向上が見込まれる場合に検討される類型で、投資計画の作成と事前確認が必要になります。A類型のように証明書だけで進むというより、設備導入の効果を数値で示し、計画として説明できる状態にすることがポイントです。そのため、投資利益率などの算定や前提条件の整理に時間がかかりやすく、導入スケジュールに余裕がない場合は負担が大きく感じられることもあります。
一方で、効果を数値で説明できる業態や投資であれば、制度活用の選択肢が広がる面もあります。設備の特徴と社内の準備体制を踏まえ、無理のない進め方を選ぶことが結果として最短ルートになりやすいです。
対象設備として認められるための要件
類型の選び方に加えて、制度適用には共通の要件があります。取得価額の基準や供用開始の時期、導入方法(購入かリースか)など、ひとつでも抜けると適用が難しくなる可能性があります。申請に進む前に、設備の情報とスケジュールを揃え、要件に照らして確認しておくことが安心につながります。
設備区分ごとの取得価額の基準
取得価額の基準は設備区分ごとに定められており、基準を下回る場合は対象外となります。代表的な目安として、機械装置は160万円以上、工具・器具備品は30万円以上、建物附属設備は60万円以上、ソフトウェアは70万円以上です。さらに、建物およびその附属設備を対象とする場合は1,000万円以上が基準となります。
導入予定の設備がどの区分に該当するかで条件が変わるため、見積段階で区分を確認し、取得価額が基準を満たすかを押さえることが大切です。なお、ソフトウェアは内容や用途によって扱いが分かれることがあるため、単なる更新や保守目的に見える場合は導入目的を説明できる形にしておくと誤解が起きにくくなります。基準をクリアしているかを早めに見極めることで、計画全体の無駄が減ります。
事業供用のタイミングと期末対応
制度の適用では「支払いを終えたか」だけでなく、「事業の用に供したか」が重要です。決算期末までに稼働を開始していない場合、当期の適用が難しくなる可能性があります。例えば、置くだけで稼働できる設備は供用開始までの時間が短く、スケジュールを組みやすい一方、設置工事や調整が必要な設備は期末に近づくほどリスクが上がります。
納期遅延や工事日程のずれが起きると、供用開始が間に合わないケースもあるため、導入時期は余裕を持って計画したいところです。社内の検収手続きや稟議のタイミングも影響するため、設備の導入フローを事前に確認しておくと安心です。期末の慌ただしさを避けることが、結果として制度活用の成功率を高めます。
リース取引と税制適用の考え方
設備をリースで導入する場合、契約形態によって税制の扱いが変わります。一般的にオペレーティングリースは所有権が移転しないため、制度適用の対象外になりやすい点に注意が必要です。一方、契約内容によっては税務上の取り扱いが異なるケースもあるため、制度活用を前提にするなら、契約書で所有権移転の有無や会計上の処理を確認しておくことが欠かせません。
また、適用できる場合でも「即時償却と税額控除のどちらが選べるか」に制限が出ることがあります。導入方法は資金繰りにも影響するため、税制メリットだけで決めず、運用面も含めて検討すると納得感のある判断になります。
中小企業経営強化税制 対象設備の具体例
対象設備は製造業の大型機械だけではありません。業種に応じて「業務の効率を上げる設備」「省人化につながる設備」「処理能力を高める設備」なども検討対象になります。
設備名だけで判断せず、事業での使い方と改善したい課題をセットで考えると、対象設備の見立てがしやすくなります。
製造業で想定される設備例
製造業では、生産工程を効率化する機械装置が対象設備として想定されやすい分野です。例えば、プレス機、切削機、溶接ロボット、搬送装置、検査工程の自動化装置などは、作業時間の短縮や品質の安定化につながりやすく、導入効果を説明しやすい傾向があります。既存設備の更新であっても、新品であり、要件を満たす仕様であれば対象として検討できる可能性があります。
大切なのは、設備の導入目的が明確で、どの業務がどう改善されるかを説明できることです。例えば「人手不足で稼働率が落ちている工程を自動化し、処理能力を上げる」といった形で効果を言葉にできると、計画書にも落とし込みやすくなります。製造現場の課題と設備の役割を結びつけることで、制度活用の筋が通りやすくなります。
小売業・サービス業での設備例(外貨両替機を含む)
小売業やサービス業でも、業務効率化や省人化に結びつく設備は対象になり得ます。例えば、POSレジ、自動精算機、券売機などは会計や受付の負担を軽減し、待ち時間の短縮にもつながりやすい設備です。外貨両替機についても、要件を満たす場合は機械装置として対象設備になり得ます。
例えば、店舗の空きスペースに設置して運用でき、インバウンド需要への対応を事業として位置づけられると、導入目的を説明しやすくなります。設備の可否は「設備名」だけで決まるのではなく、事業の用に直接供する形で運用されているかが重要です。導入後の運用イメージまで含めて検討しておくと、計画書の記載にも一貫性が出やすくなります。
経営力向上計画の申請手続きと段取り
制度を活用するには、設備投資とあわせて経営力向上計画の認定を受ける必要があります。段取りが曖昧なまま進めると、証明書や書類の準備が間に合わず、スケジュールが崩れることがあります。あらかじめ「何を用意し、どの順で進めるか」を決めておくと、期末の焦りも減り、手続き全体を落ち着いて進めやすくなります。
証明書・必要書類・GビズIDの準備
申請準備では、まず対象設備と類型に応じた書類を揃えることが重要です。A類型で進める場合は工業会などが発行する証明書が必要になり、設備の型番や仕様が確定していないと手配が進みにくいことがあります。そのため、見積取得の段階で証明書の有無や取得方法を確認しておくと安心です。
あわせて、会社謄本や直近2期分の決算書、事業概要を示す資料などの提出を求められることがあるため、社内で早めに準備しておくと手戻りが減ります。電子申請を利用する場合はGビズIDも必要になるため、取得手続きも含めてスケジュールに組み込むことが大切です。準備が整うほど、計画書作成と申請がスムーズにつながりやすくなります。
計画書の書き方と設備情報の整合
経営力向上計画では、事業内容や経営課題、導入する設備の情報を整理して記載します。読み手に伝わりやすい計画にするためには、「どの課題を、どの設備で、どう改善するか」を一本の線でつなぐことがポイントです。設備名や型番、取得予定時期などの情報は、見積書や証明書と一致している必要があります。ここにズレがあると補正を求められ、認定までの時間が延びることがあります。
例えば、計画書に記載した設備の名称が通称になっていると、証明書の表記と噛み合わないケースがあるため注意が必要です。設備情報は「正式名称で統一する」「添付資料と揃える」といった基本を徹底することで、無用な修正を避けやすくなります。
申請から認定までの流れと期間感
申請後は審査を経て認定されますが、処理期間は申請方法や内容、申請時期によって前後します。目安として、電子申請は標準処理期間が約14日(休日等除く)と案内される一方、書面申請は約30日、共管の場合は約45日とされることがあります。期限が迫っている場合ほど、補正が出た際の影響が大きくなるため、書類の整合を丁寧に揃えて提出することが重要です。
設備の納期や工事日程も加味し、認定のタイミングと供用開始が噛み合うように逆算して動くと安心感が増します。早めの準備ができれば、期末の慌ただしさも抑えやすくなります。
BRDGが支援できるポイント

制度は分かっていても、実務では「この設備は対象になるのか」「どの類型で進めるのがよいか」「書類の整合が取れているか」といった点で手が止まりやすいものです。
BRDGでは、制度要件と現場の事情の両面を踏まえ、無理のない設備投資につながるよう支援しています。判断の迷いを減らし、段取りを整えることで、設備投資を安心して進めやすくなります。
設備要件の整理と類型選定の支援
対象設備の判断では、設備区分や取得価額、運用形態など複数の条件を同時に満たす必要があります。加えて、A類型とB類型のどちらが適しているかによって準備すべき書類も変わるため、最初の見立てが重要です。
BRDGでは、設備の仕様や導入目的を踏まえ、制度上の要件と照らし合わせながら整理を行い、類型選定の方向性を固める支援を行っています。方向性が早く定まると、証明書の手配や計画書作成が進めやすくなり、後戻りも減ります。設備投資の判断を急ぎたい場面でも、整理の順番が整うことで意思決定がしやすくなります。
書類準備から申請までの伴走支援
経営力向上計画の申請では、必要書類の準備だけでなく、計画書と添付資料の整合も求められます。例えば、設備名や型番の表記が一致していないと補正が発生しやすく、スケジュールに影響が出ることがあります。
BRDGでは、必要書類の整理や記載内容の確認を通じて、申請までの流れを一貫して支援しています。社内での確認ポイントが明確になるため、担当者の負担も減りやすく、進行管理の面でも安心感があります。期限が近い場合ほど、伴走支援の価値が出やすくなります。
外貨両替機の導入相談と運用イメージ
外貨両替機の導入を検討する場合は、制度適用の可否だけでなく、導入後にどのように運用するかまで見通せると安心です。例えば、設置場所や利用導線、運用体制が想定できれば、事業の用に供する設備として説明しやすくなります。
BRDGでは、設備の特徴や設置環境の前提を踏まえ、導入の考え方を整理する相談に対応しています。設備投資と事業運営が自然につながる形に整うことで、計画書の一貫性も高まりやすくなります。
中小企業経営強化税制の対象設備に関するよくある質問
制度の要件は細かく、個別事情によって判断が分かれる場面もあります。最後に、よくある質問を通じて誤解しやすい点を確認します。気になる点が解消できると、設備投資の判断や申請準備を落ち着いて進めやすくなります。
中古設備でも対象になりますか?
原則として、中古設備は対象になりません。制度は新品設備の導入を通じた生産性向上を後押しする仕組みであるため、過去に事業で使用された設備は対象外となります。
コスト面で中古設備に魅力を感じる場合もありますが、税制活用を前提にするなら新品設備を選ぶ必要があります。中古を検討している段階で方向性を切り替えると、計画全体の手戻りが減り、導入判断もスムーズになります。
ソフトウェア単体の導入は対象ですか?
ソフトウェア単体でも、要件を満たせば対象になり得ます。目安として取得価額が70万円以上であることに加え、事業の効率化や生産性向上に結びつく内容であることが求められます。単なる更新や保守目的に見える場合は対象外と判断される可能性があるため、導入目的を具体化しておくことが重要です。
例えば、在庫管理の精度向上や受発注の自動化など、業務の改善点とソフトウェアの役割を結びつけて説明できると整理しやすくなります。
申請前に設備を購入しても問題ありませんか?
基本は、設備の取得前に経営力向上計画の認定を受ける進め方が安心です。例外として、取得後でも一定条件のもとで申請が認められるケースがありますが、適用範囲には限りがあり、スケジュール面のリスクも伴います。
設備の納期や期末の都合で先に取得したくなる場面でも、手続きが追いつかないと制度活用が難しくなる可能性があるため注意が必要です。判断に迷う場合は、取得前に段取りを整え、供用開始までの計画を固めておくと安心感が増します。
オペレーティングリースは対象になりますか?
一般的に、オペレーティングリースは所有権が移転しない契約形態のため、制度の対象外になりやすい点に注意が必要です。リースには契約形態の違いがあり、税務上の扱いも変わるため、制度活用を考える場合は契約書で所有権移転の有無や会計処理を確認することが欠かせません。
また、適用の可否だけでなく、即時償却と税額控除のどちらが選べるかにも影響する場合があります。導入方法は資金繰りや運用にも関わるため、税制だけで決めず全体像で判断すると納得しやすくなります。
まとめ | 中小企業経営強化税制の対象設備で迷いやすい点と次の一手

中小企業経営強化税制の対象設備を判断する際は、生産等設備に該当するか、新品要件を満たすか、取得価額や供用開始のタイミングに問題がないかといったポイントを押さえることが欠かせません。加えて、A類型とB類型では準備すべき書類や進め方が異なるため、設備の特徴と社内の体制に合う類型を選ぶことが重要になります。
申請では、証明書や添付資料と計画書の整合が崩れると補正が発生しやすく、スケジュールにも影響が出ます。設備投資は金額が大きいからこそ、制度要件と段取りを揃え、無理のない形で進めることが安心につながります。
もし「この設備で進めてよいか」「A類型とB類型どちらが合うか」など判断に迷う場合は、BRDGにご相談ください。状況を伺いながら、設備要件の整理から申請の段取りまで、進め方を一緒に整えます。